VSSとは?
マイクロソフト社のWindowsが標準提供している「ボリューム・シャドウ・コピー・サービス(Volume Shadow Copy Service、以下VSS)」という機能のことです。
VSSとは、Windowsのバックアップ時(特にイメージバックアップ時)によく使用したり登場する言葉です(スナップショットなんてキーワードとともに)
オープン中やロックされているファイルをバックアップしようとするとバックアップをスキップしたり、タイミングによってはデータの整合性が取れないことがあります、これを回避しするための機能です。
Windows Server 2003 以降に登場した機能になります。
VSSのコンポーネント?VSSリクエスタ、VSSライタ、VSSプロバイダ
VSSの概念は簡単なのでが、VSSを形成するコンポーネントは意外と難しく意味がわかりません。
以下で説明します。
VSSは、ソフトウェア・スナップショットだけでなく、より高性能なハードウェア・スナップショットにも対応している。
VSSはいろんな連携(バックアップソフト、アプリケーション、ハードウェア)を考慮しているためにVSSはコンポーネント分けされている。
VSSのコンポーネント連携の仕組み
上記。VSSによるストレージ・スナップショット作成の流れ。
VSSを介してサーバ・アプリケーションがバックアップ・ソフトウェアの要求を受け、安全なスナップショット作成の準備を行う。
- バックアップ・ソフトウェア(リクエスタ)がスナップショット作成をVSSに要求する。
- VSSはサーバ・アプリケーション(ライター)にキャッシュのフラッシュを指示する。
- その時点でサーバ・アプリケーション側にキャッシュされているデータなどがストレージ・ハードウェアまたはストレージ・エリア・ネットワーク(SAN)にフラッシュされる(未処理のトランザクションはすべて完了される)。
- VSSはストレージ・ハードウェアにハードウェア・スナップショットの作成を指示する。
つまり、コアとなる真ん中のVSS(仲介役)以外は、Windows以外のサービスのためのコンポーネントだ。
バックアップで考えられるWindows以外のパーツとの連携するためにコンポーネント分けされているということだ。
- VSSリクエスタは、バックアップ開始を指示するバックアップソフトウェアが提供したりするコンポーネント
- VSSライターは、Windows OS上で動作するサーバーアプリケーションが提供したりするコンポーネント
- VSSプロバイダは、連携するストレージハードウェアが提供したりするコンポーネント
VSSプロバイダのメリット・利点は?
意外とわかりづらいのがVSSプロバイダだ。
VSSプロバイダを提供して何のメリットがあるのだろうか?
今回、VSSを調べVSSコンポーネントにお必要性・機能・メリットを調べるきっかけとなったのはVMware ToolsがVSSコンポーネントを提供したことだ。
標準ではインストールされないコンポーネントなのだ・・・VMwareスナップショットのVSS連携に必要なのか?不要なのか?
VSSは先ほどの説明のようにストレージハードウェアベンダーが提供するためのVSSコンポーネントだ。
説明としては
ディスクへの読み取り・書き込み、スナップショット生成などを行うコンポーネント。
OS添付のソフトウェアプロバイダの他、ディスクアレイベンダ等により提供されるハードウェアプロバイダがある
とよく説明があるがこれではVSSプロバイダのメリットはわかりづらい。
以下の富士通ストレージハードウェアETERNUSのサイトの説明がわかり易い
このVSSはある特定時点のデータコピーを作成する「スナップショット」と呼ばれるものをサポートしたものです。
ソフトウェアプロバイダによるスナップショットはデータのアドレス情報などの断片的なもので、データそのものをコピーする確実なバックアップにはなりません。
そこで外付けストレージの高速コピー機能と連携した高性能なバックアップをサポートしたハードウェアプロバイダが必要となります。
ETERNUS ディスクアレイでは、ETERNUSディスクアレイのアドバンスト・コピー機能とVSSを連携するために、ETERNUS VSS Hardware Provider を提供しています。
これにより、独立したバックアップデータを取得でき、ソフトウェアプロバイダによるスナップショットとは違い、データそのものをコピーする確実なバックアップを行なうことができます。
次に、以下のサイトの説明だ
VERITAS FlashSnap オプション VSS プロバイダの利点
VSS プロバイダとして Windows Server 2003 に統合
独立したスナップショット ボリューム
元のボリュームを喪失してもスナップショットに影響がない。
元のボリュームが破壊された場合はスナップショット ボリュームからの再同期が可能。
COW プロバイダと比較してオンホスト処理のパフォーマンスが高い。
オフホストに移して処理することが可能。
つまり、マイクロソフトのWindows OSによるソフトウェアVSSプロバイダと比べ、ストレージハードウェアベンダー(もしくはメーカー)が提供するVSSプロバイダーは、ストレージハードウェアと連携でき例えば「WindowsのNTFS領域にスナップショットを保存するしか方法がない」という制限を切り離すことが出来るのだ。
そして、スナップショットを「バックアップ」とすることも可能になるというメリットがあるということだ
(メリット・利点の作りはストレージハードウェアベンダーに依存する)。
作成日:2011/02/04
更新日: